ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

魂とアイロン


文句を言われ続けた挙句に
縮れて
ふてくされた魂に霧を吹きかけ
アイロンをかける


しわが伸び
パリッとしたまっすぐな魂に
再び生まれ変わる


「これで文句はあるまい」


そう呟いて
私に文句を言うであろう人々の顔を
一揃い掌に並べては
勢いよく吹き払う


吹きだせば
また
吸わねばならぬだろう


伸びれば
また
縮めばならぬのだろう


魂が
疲れても
足を引きずりながらでも
動こうと模索する


動かねばならぬと模索する


なぜ動いているのかもわからぬままに
意識が動き
肉体も回る


グルグル廻り回る
人の間をグルグル回る


暦も回る


しわくちゃになるまで使い古されたものが捨てられて
新しいものがそこに置き換わる


ふてくされて縮こまる魂や
疲弊して凝り固まった筋肉に
アイロンをかけて
だましだまし使っている


グルグル廻る
人の間をグルグル廻る
魂が
肉体が
人の間をグルグル廻る
暦の中で私は進む


廻るのではない
進むのだ


替えの利かない魂と肉体が
私を私に縛り付けている
どんなにもがいても
ここからは逃げられない
ただ
アイロンをかけ
だましだまし進んでゆくしかなさそうだ

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