所有するということ
猫は何にも持っていない
その代わりに
目に映るものすべてが
自分のものなのだろう
遠慮をしない
人は
所有をすることで
持たない事を学習してきた
そして
目の前にあっても
自分の手に取れないものを増やしてきた
逆説的だが
持つことは
持てないものを増やすことらしい
持てないものを増やすこと
この持つことの反作用が
所有欲に火をつけて
持つものをふやし
それがまた
持てないという反作用を増殖させている
昔
大地は皆のものだった
今
空気は皆のものだ
生きるということは
奪い合うことでもある
自分のものを囲う
囲われる前に囲いつくさなければ生きていけない
そうして自分の自由も
その囲いに縛り付けてきた
猫は
将来必要になるものを囲いもせずに
のんきにのどかに遊んでいる
何と愚かな生き物だろう