トリプルワールド28
小さな子供が
お母さんを恋しがり泣き叫ぶことがある
「おかあさん
おかあさん
行っちゃダメ」
お母さんは働くために出かけるにも
一苦労することになる
子供にとって
お母さんは
大事な自信を保護するシステムの一部だ
***
修復されながら維持されているシステムは
修復がされなければ疲弊し機能しなくなる
修復できない障害が発生した場合には
別のものでその代用をしなければ
そのシステムが負っていた昨日は消失することになる
システムが複数存在することが危機管理につながる
これと同じように
生命は自身の修復に合わせて
増殖を行う
増殖は
究極の修復ということもできよう
全ての部分を一度に入れ替えるようなものだからだ
細胞の中にある細胞内小器官は
絶えず壊され手新しいものに入れ替えられている
壊れることが前提となり
全てが壊れる前に
新しいもので補充することで
生命が維持されている
新たなものが
増殖により次々生まれてくることにより
主体世界が多数展開することになる
このようにして
同じような主体が多数存在し
その多数の間で様々な関係が生まれる
支配され
支配する関係もその一つだ
一方が支配し
もう一方が完全に支配されることになれば
その関係は安定し
心臓と内臓のような関係に成長する
***
子供は泣き叫び母親を支配しようとするが
支配しきれず
母親は往々にして出かけてしまう
そして
帰ってくると
「いい子にしていたかな?
いい子にはこれをあげる」などと言いながら
おいしいお菓子をあげたりするのだろう
子供は次第に母親の言うことを聞くようになる
そして
さしあたり支配されるようになる
やがて
支配から離れ
独立性を高めてゆくのだろう