生きている細胞の中から
細胞が生きるため
大切な役割を果たしている酵素反応を
細胞の外に取り除くと
その酵素反応も
細胞も
共に機能不全に陥り消滅する

その酵素反応と
他の様々な反応は
共存し
反応が循環して
はじめて
時間を超えて細胞として存続できる

このような共生的連帯の中で成立する循環が
世界を維持している

特異的な反応が
特定の組み合わせで凝集し
現象が循環し
世界が形成されている

純粋な物理化学現象から形成されるファーストワールドからすれば
歪んだ局在的な反応の渦としてセカンドワールドが創生され
されには
空間を飛び越えて現象が循環するサードワールドが成立している

それぞれの反応が
散逸してしまえば消え失せる循環が生命現象だ

地球は
太陽の周りを
まわり続けることができる軌道に乗った衛星だ

この軌道に乗れた確率は非常に低く
多くの衛星の候補は
太陽系から離れてしまうか
太陽に落ちて衛星ではなくなった

軌道に乗ることにより
存在し続ける奇跡を地球が演じている

その地球の上で
単独では消え去る反応が
連帯し
循環する現象となり
生命が引き継がれている

奇跡の上に
いくつもの奇跡が重なり
生命が引き継がれている

DNAが
生命の軌道を描き
奇跡の道筋を記録してきた

この道筋から外れることは
生命の道から外れることである

道徳も
同じような役割を果たしているのだろう

道筋は完璧ではないから
多様な生命があり
多様な道徳があり
淘汰選択があるけれど
それぞれに道筋を描き
独自の世界を維持し続けてる

成立しえる世界の潜在はまだまだたくさんあるのだろう

それを探すかのように
失敗を繰り返しながら
世界は広がり
新たな生物や
新たな道徳が生まれてくる