ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

トリプルワールド50


見たくない光景が目の前に広がると
目を覆いたくなる


聞きたくないことが聞こえてくると
耳をふさぎたくなる


嫌な臭いが匂ってくると
鼻をつまみたくなる


主観には
他の世界を拒絶する権限があるらしい


目を瞑り
耳をふさぎ
鼻をつまみ
外部を遮断した主観が
純粋な主観とすると
純粋な主観は
きわめて退屈な存在になる


主観が
景色を欲し
音を欲し
匂いを欲し
文字を欲するから
主観はきわめて退屈になる


欲しなければ
退屈にはならないが
そうもいかない


主観には
他の世界を拒絶する権限もある代わりに
他の世界に反応したい欲求が備わっている


考えてみれば
主観は
動いていなければ
意識できない存在だ


動きを止めた主観を
意識に上らない


このような
意識下にある基底状態から
刺激を見つけては反応し
動き
その動きが刺激となり
さらなる反応を惹起し
主観の世界が広がってゆく


主観は
刺激に活かされている


刺激とならない言語や記憶は
反応を返す主観を活かすことなく
言葉のやり取りや
記憶の反芻の循環から取り残される


全世界の出来事のほとんどを
刺激として受け取らずに主観が働いている


反応には限度がある
この限度の中で
主観が世界の全てのような顔をして
あれこれと思いを連鎖させてゆく

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