トリプルワールド56
世界は
現象の循環であり
その近傍の環境では
たくさんの世界が
刺激を交錯させている
主体が別の主体を
ひきつける刺激もあれば
忌避させる刺激もある
その刺激の狂乱に
世界がうごめく
鋭く素早い確固たる反応もあれば
のんびりした緩やかな反応もあり
刺激に対し
全く反応しないこともある
チョウチンアンコウは
頭の上にある疑似餌を振り
小魚を集めようとする
騙される小魚もいれば
騙されない小魚もいるのだろう
こんなあやふやな刺激と反応の関係が
体内の関係に存在してしまえば
ちぐはぐなことになってしまう
例えば
右手を動かそうとしても
動くときと動かない時があるのでは
困ってしまうし
右手がかゆいのに
左手を掻いてしまうようでは
なんとも歯がゆい
一般に
世界の内部での
刺激と反応の関係は
世界の外部の環境におけるそれより
規律性が高い
必要性もあるのだろうが
この規律性を高めるためには
たくさんのコストがかかることにもよるだろう
環境より
世界の内部は
その空間が狭い
広い空間で
規律性を高めるには
莫大なコストを要することになる
この莫大なコストを負担してまで
環境を支配することは
容易なことではないので
環境でも規律性は
概して小さくなっている