商店街のセールの景品で
福引の抽選券をもらった

早速
福引のドラムを回し
一粒の白色の玉をだした

この色は５等だということで
ホッカイロを貰った

豪華景品が当たるなどと
あまり期待をしていないので
「まあ、そんなものか」と
ホッカイロを貰って帰路についたのだが
次の人も
ホッカイロを貰ったようで
「あのドラムには白色の玉しか入っていないのでは？
　そういえば、私の前の人もホッカイロだった」
などと
ドラムの中身が気になった

「ちゃんと金色の特賞の玉が入っていることがわかるように
　ドラムを透明にして中身が見えるようにするべきじゃないか」
などとも思ってみた
でも
ドラムの中身を想像したら
なぜ透明なドラムにしないのか、わかったような気がした

ドラムの中身は白色の玉ばかりで
そこに埋もれるように金色や銀色が球が隠れているのだろう
だから
きっと一見しただけでは
白色の玉しか入っていないように見えてしまう

そんな白色の玉しか出そうもないドラムを
回してみたくはならない

やはり
ドラムの中身は見えない方が良い

安易に想像できてしまう未来はつまらない

未来は
程良く隠しておいた方が夢がある

人の心はマーブルチョコの様だという

マーブルチョコのように
心の中には
様々な色の心模様が詰まっている

マーブルチョコを筒から振り出さなければ
何色のチョコが出るのかわからないように
心を揺らしてみなければ
何色の心模様が現れるのかわからない

未来は
程よく隠れていなければ
夢がないのだけれど
ある程度
わかっていたいから
心の中を覗いてみたくなる

白色の玉に埋もれながらも
金色の玉がそこかしこに見えていたりしたら
きっと
金色の玉の数だけ心が舞い上がるのだろう

「あの玉が出てきてくれぬのだろうか」
とついつい妄想にかき立てられる

未来は見えないから
妄想があり
夢があり
祈りがある

隠れている未来に向かい
おめでたく生き抜かなければ人間らしくない

機械ではないのだ

白色の玉しか出なくとも
見えない未来にむかって
福引のドラムは
今日も回り続けるのだろう

何色になるのかわからない
マーブルチョコの色に
一喜一憂を繰り返しながら
心を揺らしながら
一日を過ごしてゆくのだろう

どんな色であろうとも
おいしく味わえれば幸せだ