往々にして
自由は対立を生むので争いの元になる

この対立を避けるための統制は
不満の元になる

やがて、この不満は自由を求めるから
結局、統制も争いの元になる

争いを避けようと
自由を与えても
統制を敷いて平等を標榜しても
争いへの道は閉ざされることはない

だから
人間は考え続ける葦になり
右へふらふら
左にふわふわしながら
争ったり
争いを止めたりしながら
人間としての尊厳を保持しているつもりになっている

右へ行きすぎたら
左にたなびき
俺は素晴らしいと誇り
左に行きすぎたら
右にたなびき
私は素晴らしいと誇り
競い勝利を収めれば
俺たちは素晴らしいと誇り
争いを止めれば
私たちは素晴らしいと誇りながら
人間は素晴らしいと
その尊厳を保持してゆく

負けるが勝ち
名誉ある撤退などと
競争に敗れても
考えようで勝ったつもりになって
尊厳を保持してゆく

考えようで
尊厳は無限に広がり
その広がりの向こうへと
生の歩を進めてゆく

考えることで
尊厳を創造するから
人間には尊厳がある

考えは
主観的だから
尊厳があまた出来上がる

客観的な思考には
争いがない事実であって
尊厳がないから
面白くもない理屈ばかりになって
味わうのではなく
利用すべきものになる

幸せを味わうには
やはり
主観的な尊厳がありがたい

大きな主観的な尊厳が
小さな諍いを鎮めてくれていると
一見平和だ