恒常的状態:夢と心
雨が降っている
あいにくの天気です
出かけることなく自室で過ごす
風も激しくなってきた
穏やかな晴れの日ならば
私は自由に出かけていたのだろう
天候が私の自由の邪魔をする
*
天候に囲まれて日々を過ごすように
時代に囲われて人生を全うする
時代の言葉が
私を包む
包みこまれて
身動きが制限された私が
その包みの中で
風雨を凌いでいる
*
あの山の向こうには
きっと
知らない世界が広がっている
そこには
ここにはない自由と
ここにはない制限がうごめいているのだろう
*
知らない言葉に囲まれ
不安に苛まれ
その言葉を覚えたいと願う
その言葉を覚えて
その言葉に包まれて
布団の中で眠るように
その言葉の中で心を瞑る
*
自然には掟がある
言葉がない時代から
掟があった
雨が降っていれば濡れてしまい
風に吹かれれば揺れ動く
そんな掟に寄り添うように
感情が流れてゆく
雨が降れば
外にでたくない
そして
「つまらない」と不満を感じる
そんな感情に
言葉が寄り添う
言葉は寄り添いながら
心を包み
やがて言葉が心を支配する
*
子供のころ夢見た大人の世界が
私を包み込み
私を支配している
夢を見て
夢に憧れ
夢に生き
その夢に心を満たしながら
別の心を追い出している
*
様々なしがらみが
様々なやり様で
私を囲み込み
私を包み
私を守ってくれている
守ってもらいたい私は
守られて喜んで
抱きこまれ
まどろみの中で
居眠りをしながら生きている
まだ夢を見ているようだ