円環創生因果:還元的思考と統合的思考
研究室では
多細胞生物の細胞を取り出し培養している
うまく培養しなければ
取り出された細胞はすぐに死んでしまう
そんな壊れやすい細胞たちを
多細胞生物の身体は
とても上手に培養しているので
細胞としては
身体から取り出されずいた方が安泰だ
身体の中では
他の細胞の恩恵をたくさん受け
安泰に過ごせる
このような恩恵を
培養下では
人間が与え続けなければならないから大変だ
栄養は充分か
酸素は足りているか
老廃物を処理できているか
細菌やウイルスから防御できているか
そんなこんなのたくさんの作業を
人間がしてあげなければ
取り出された細胞は死んでしまうのだ
*
多細胞細胞の身体の中には
損後に恩恵をする流れが渦巻いている
この渦の塊が個体という存在単位を形成している
円環としての渦をうまくできる存在は
残ってゆくべき存在で有り
渦を乱す存在は排除されるべき存在と観念できる
個々の反応の良し悪しが
単独で評価されるのではない
渦の中の円環の一部として
渦の一部としてふさわしいか否かが評価されるのだ
個々の反応も
個々の細胞も
還元的にその機能を取り出せるのだけれど
その評価は
統合された全体の中でしなければならない
還元的思考だけでは
世界を語れないのは
このためだ
統合的思考が
円環を完成させながら
その完成度として
個々の還元世界を評価することになる