ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

同一性:馴らされて


個人が希望する現実と
実際に拡がる現実には差異がある


この差異を良しとしない場合に
個人は
現実を
自分が希望するに変えようと努力を重ねる


希望と現実が同一になるまで
この努力を重ねる場合もあれば
途中であきらめ
希望を捨てて
現実を是認することもある


こうして
希望を叶える場合も
希望をあきらめる場合も
結果として
希望と現実は同一化することになる


希望により現実が馴らされる場合もあれば
現実により希望が馴らされる場合もあるが
いずれにせよ
馴れれば
希望と現実が対峙することは無くなり
あえて努力をしなくても
比較的平穏に時が流れてゆくようになる


このように考えると
生きるということは
生まれた所に馴らされることになる


生きる努力は
どのような過酷な環境でも行われるのであろうが
その環境に馴らされた生き方をしないと
生まれ落ちても環境に敗れ
死に絶えるということになる


DNAには
馴れるための方法が集積されているということだ


場違いの服を着ていたり
偉い人の前で無作法を働くと
恥ずかしかったりする


「どこでどんな服を着ようとも私の自由だ」
とか
「偉い人の前で何をしても私の自由じゃないか」
とは
なかなか開き直れない感情が
私の自由を阻害してくれている


こんな具合に
私の感情も私を訓化して
人間社会に馴らしてくれている


こんな訓化が折り重なり山となり
私は隣の人とどんどん同じになり
希望と現実に差異が減ってきた
ありがたいことです


やがて
天命を知り
耳順うようになり
矩を踰えなくなるのだろう
そして
私が生きた意義は
周辺に溶けてゆき
私の個性の意味も
やがて消えてゆくのだろう


周辺に同化して溶けだした私の意義だけが
次の世代へと引き継がれてゆくことになるのだろう


私の個性の核心は
ゆっくりと成長し消えてゆくのだ

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