ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

同一性:同一性の創造


赤色のおはじきの数を数える時
まず
赤い色のおはじきを探す


この「探す」という行為なしに
赤色のおはじきの同一性は現れない


おはじきが
ふとした拍子に机から落ちて
床を転がって
物陰に隠れてしまうことがある


こうなったおはじきは
その色を見てすらもらえず
赤いおはじきとの同一性を評価してもらえない


この探されなかったおはじきは
赤かったら
物陰に隠れている状態でも
数えられた赤いおはじきと同一性が確保されていた
と言えるだろうか?


物陰から探し出され
色が確認されて
はじめて
赤いおはじきとしての同一性が確定するのではなかろうか?


「赤いおはじきと
 青いおはじきを同じ数にするように」と言われ
同じ数の赤いおはじきと青いおはじきを並べると
それ以外のおはじきは
机の片隅に追いやられ
「赤いおはじきでも青いおはじきでもない」
といった扱いを受けることになる


物陰に隠れたり
机の隅に追いやられなくとも
赤いおはじきに
青色のペンキをスプレーすると
赤いおはじきは
青いおはじきになり
赤いおはじきの仲間として
数の中に入れてもらえなくなる


赤色のペンキが剥げて
別の色、例えば白色になったおはじきも
赤いおはじきではなくなる


以上のように
「同じ」であるということは
鑑賞の結果であり
鑑賞されない存在は同一視されない面がある


鑑賞の基準から外れた存在も
同一視されない


加工により
同じになったり異なるものになったりもする


同一性は人工物だ


おはじきの表面についた傷を基準にすれば
おはじきはそれぞれ異なるものになるだろう


同じものを違うものとして見ようとすれば
違うものになる


違う時空にあれば
同じものでも
それぞれ違うものになる


私は
場所により私を変える


同じ私が
それぞれの場所で
別の私を演じている


同じであったり
違っていたりさせられているのは
おはじきばかりではなく
私も同じだ

×

非ログインユーザーとして返信する