同一性:空間と意識の同一性
一辺5cmの三角形の絵を
画用紙に描く時に
一辺が5cmの三角形の絵を
あらかじめ
頭の中で描いている
頭の中の三角形と
画用紙の三角形を見比べて
画用紙の三角形の直線の歪みを
まっすぐに直してみたりする
画用紙の三角形が
一辺の長さが
5cmに足りない辺があったり
5cmより長い辺があったりすると
それ直してみたりする
でも
面倒なら
ちょっと短くても長くても
5cmであることにして
画用紙の三角形と
頭の中の三角形は
同一であると判断することもある
画用紙の直線が
ちょっと曲がっていても
真っ直ぐであることにして
頭の中の三角形が
画用紙の三角形として
描けたことにしてしまうこともある
こうして
空間の中の三角形と
意識の中の三角形の間に
同一性の関係が創造される
そして
空間と意識の間にある
暗くて深い淵に
同一という名の橋がかけられる
三角形を描くことは
意識から空間への能動的な動きであり
三角形を眺めることは
空間から意識への能動的な流れだ
双方向の能動的な流れの中で
同一性という橋がかけられたのだ
私は
私の目の前に広がる空間の一部を眺め
私の頭に映る意識の一部に思いをはせて
空間に手を伸ばし
その成果を眺めている
意識と空間の同一性を求めて
空間に手をのばすのだ
きっと
私の内臓の意思も
私の頭の中の意思との間で同一性を求めて
私の意識に手を伸ばしているのだろう
お腹がすき
何かを食べたくなるのは
きっとそのせいだ
そして
こうした意識に抗しきれずに
わたしの手は
美味しそうなものに伸びてゆくのだ