ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

戦略的利他:システムの基準が利他を叫ぶ


真夜中
突然の雷鳴に目を覚ます


次の瞬間
まどろんでいる意識を
閃光と爆音がかき乱した


「まさか!
 日本にもミサイルが飛んできたのか」


そんなことを考えながら
再びまどろもうとすると
またしても
遠くのほうから雷鳴が聞こえた


「まさか、と思うが確かめておこうか」
と思い
インターネットを開いてみる


きちんといつものようにつながり
特段、緊急時の様子は見受けられない


「やはり大丈夫だ」と思うが
念のためテレビをつけてみる


緊急事態を知らせるテロップもなく
普段通りの放送が行われている


「ああ、よかった
 みんな無事だ」と再び眠りにつく


私の平穏は
インターネットやテレビがもたらすもので
私が見渡せる空間に広がる風や光ではないようだ


小さな箱の中の
大きな世界に私は繋ぎ止められ生きている


いつしか私は
この大きな世界が紡ぎだす善悪の基準の虜になっていたようだ


この大きな世界の中で
敵と味方が分かれて
善と悪を叫び続けている


私が見渡す風や光には善悪はないのだけれど

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