炭素は
炭になることもあれば
ダイヤモンドになることもある
酸素や水素などと結合して
さまざまな有機物になりさえする

炭素の循環は
化学反応の積み重ねだ

光合成で
グルコースになり
燃えれば
二酸化炭素と水に分解されたりしながら
炭素が地表を循環している

炭素の運命は
原則としては受動的だ

能動的に
運命を切り開くのではなく
その場の環境に応じて
化学反応が起こり
様々な化学物質の部品となる

そんな炭素にも能動的な側面がある

酵素の一部となり
他の炭素の運命を変える化学反応を触媒して
特定の化学反応を頻繁に起こすような作用を示すからだ

このようにして促された化学反応により
別の触媒作用を促す物質を形成し
この物質により促されるか化学反応により
そのまた違う触媒作用のある物質が形成され
このような化学反応の連鎖が循環すれば
これらの循環する化学反応が
どんどん盛んにおこなわれるようになる

循環的増殖だ

循環の中の化学反応は
他の化学反応を促すことにより
自身と同じ化学反応も再現されるという
互恵的関係のなかにある

化学反応の再現を「恵」としたときの互恵関係だ

同じことが繰り返されることにより
再現され
その再現が増殖し
持続可能性が高まる

持続することが「恵」である世界秩序が
化学反応の循環に形成されている

同じことを繰り返すことにより
混沌へ戻らぬように様々な化学反応を循環させている

人類も
言葉を駆使して
混沌へと戻らぬように
同じことを繰り返す

はやりすたりを繰り返しながらも
根本にある秩序を維持しようと
同じことを愚直に繰り返す