ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

予定と実践:べきである星のべきである星人


いつのまにか
役に立つ知識と役に立たない知識を
選別している


覚えても仕方ないことを
覚える努力が
惜しいのだ


覚えておいて
得をすると
その手の知識は
役立つ知識として
より一層
覚えておこうと努力することになる


あまり当たらない天気予報の言うことは
あまり覚える気にもならないが
よく当たる天気予報の言うことは
とても気になる


「右」という言葉を覚えておくと
「右向け右」と言われた時に
ちゃんと右を向き
一人だけ
動かなかったり
左を向いたりと人と違ったことをしでかして
叱られることを避けることができる


よく当たる天気予報の言葉に応じて
傘を持ったり
薄着にしたりと
行動を変えることになる


命令に応じて
右を向いたり
左を向いたりと
行動を変えることができるようになる


知識が
言葉が
未来の在り様を変えてゆく


猫に
「右を向け」と命令しても
猫は右を向かないが
言葉を理解する人間に
「右を向け」と命令すると
右を向くのだ


言葉を理解する人間の間で
言葉と行動の間に因果律が形成されている


言葉としての予定とその言葉に反応する実践の間に
きちんとした関係が成立しているのだ


そしてこの関係が
秩序を形成している


法律は
その実践により機能するのであり
実践を伴わない法律は
空約束であり
戯言と同じだ


予定と実践の関係性を
学び習い慣れて
社会生活を維持することができるようになっている


そして
時に息苦しいほどに
言葉に囲まれて
未来ががんじがらめになっている


はたして
言葉がなければ
どんなにか自由で無秩序になるのだろう


実践を誘導する言葉が
巷に溢れ
その中から役に立つ言葉を選び出す


全ての言葉を受け入れたなら
私は私を失い
言葉のお化けになってゆくのだろう


べきである星人が住む
べきである星では
義務がことごとく履行され
義務の不履行は厳しく罰せられるという


べきである星は
言葉が作る理想郷なのかもしれないが
人間である私も
その星に連れてゆかれたのならば
べきである星人になるべく
努力をしなければ
生きられないようにできているのだろう


知識は役に立つ


実践がそれを裏付けるのだ


その場その場での実践が
それを裏付けるのだ


この実践による裏付けを得るために
べきである星人は
「べきである」を唱え続ける


時に
裏付けを得られずとも
「そんなはずはない」
「何かの間違いだ」と叫びながら
「べきである」を唱え続ける

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