ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

予定と実践:明日に束縛された現在


全身にかよっていた血液の流れが滞ると
滞った血液は固まりだし
血液により養われていた細胞たちは悲鳴を上げる


実際に悲鳴を上げることはないが
細胞たちは活動を継続できなくなり
生化学反応で発生していた熱も失われ
身体は冷たくなってゆく


明日も血液がかよっている
そんな予定の中で
細胞たちは暮らしているのだから
血のかよわない世界にさらされれば
予定通りのことをできなくなるのは当然の成り行きだ


明日はとても大切だ


生命は
総じていえば
明日も予定通りに生き抜こうとしている


だからなのだろう
今日は明日に束縛されている


明日のことを考えなければ
もっと自由になれるのだろうが
そうはいかない


明日に備えて
必要になるものを取り揃えてみたり
明日のために
信頼される良い子を演じてみたりする


それでも
人の心は揺らめくもので
そんな明日のための自分に嫌気を指して
今日の自分を謳歌したくなったり
いやそれではだめだ
明日のために身を正してこそ立派な人間だ
などとわかったようなことを
自問自答したりする


このような
心の揺らめきが
そよ風に揺れる木の葉に遊ぶ木漏れ日のような
命の輝きでもあるのだろう


いつも同じではいられないから
時間を区切らずに机上に乗せると
矛盾が指摘され
罪が断罪され
あるいは
恥辱の言葉に曝され赤面させられることになる


言うことと
やることの関係は
言葉とその意味の関係のように
根源的には恣意である


この恣意を
必然であるかのように
言うこととやることを一致させ
信頼性を高め
立派な人間を演じることで
それぞれの社会が維持されている


「白いネコ」という言葉に
黒いネコを思い浮かべてはいけないように
私は
私らしく今日を生き
明日につなげなければならい


そんなことを繰り返しているうちに
「白いネコ」から黒いネコは消え去り
私からも
私らしからぬものが消え去ってきた


こんな惰性の中で
血液も
私の身体の中をかよい続けているのだろう


心が揺らめくように
血の巡りも
激しくなったり
穏やかなったりしながら
なからなかに揺らきながら
明日に向かい
堂々巡りを繰り返す


明日に拘束された今に
窮屈を感じることもあるけれど
明日の束縛を受けない今日には
どこか恐ろしげな色を感じてしまう


命は
束縛があり輝いているに違いない


祈りも
束縛を求め輝いている


きっと
外からくる祈りでは足りない


内から湧き上がる祈りが
そよ風に揺れ動き
命は輝いているに違いない

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