ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

触媒と必然:触媒に曝されている私


目を瞑ると
世界が消える


目を開けると
世界が現れる


この様に消えたり現れたりする世界から独立して
私の意識は変遷している
だから
映画を見ている時には
映画の世界にどっぷりと浸かることになる


しかし
映画館から一歩外に出ると
再び
映画館に入る前の世界に逆戻りすることになる


露天風呂で
浮世の戯言から離れ
大空の悠々と動く様に見とれていても
露天風呂から上がり
家路につくと
浮世の戯言が再び頭をかすめ始める


私の意識は
今接している世界に傾倒する


傾倒したくなくとも
私に変遷を求めてくる何かが
私に触れてくる


私はそんな触媒作用に曝されている


そんな0触媒により
今見ている景色を眺めさせられている
そして
今聞こえている音を聞かされ
今嗅いでいる臭いを嗅がされている


その触媒に抗い
別の景色を見て
別の音を聞き
別の臭いを嗅ぎたいと考えても
その触媒作用に抗いきれない私がいる


目を瞑ると
世界が消える
けれど
目を開けると
再び世界が現れる


世界は様々な触媒の集合体だ


そのさまざまな触媒が
私に触れ
私を導く


私自身も
そんな触媒の一部なのだろう


常に触れる場所いて
様々な触媒と相互作用を繰り返す私自身も
私の触媒だ


私という触媒が
他の触媒に対して
変遷を促すのだけれど
なかなか思うようには動かない


そこで私はもっと大きな力が欲しくなる


私の存在意義は
私の触媒能力だと思うからだ


触媒能力が高いほど
触媒能力を保持できる循環を強く回せるのだ


路傍の石にも
道草にも
空を覆う大樹にも
それぞれの触媒能力がある


石は石として互いに固く凝集し
風雨をしのいでいる


道草を踏まれながらも
空を目指し葉を伸ばす


大樹は空高く伸びながらも
その根元から水を吸い上げる


触媒として
何かを動かしながら
その触媒能力を維持している


水を吸い上げられなくなった大樹は枯れるだろう
他の草木に遮られ空を見ることのない雑草も枯れるだろう
互いに固まれなくなった石は砂へと変遷してゆくだろう


目を瞑ると消え
目を開くと現れる世界がある


その世界と触れ合いながら
私は変わり
私と触れ合い
世界は変わり続ける

×

非ログインユーザーとして返信する