ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

触媒と必然:経験と意思を取り持つ言葉


食べることができるものと
食べることができないものがある


この区別をするために
見て
臭いを嗅ぎ
触ってみたりする


このような行為により
「食べ物」という言葉に
意味が折り重ねられてゆく


そして
実際に食べ
その味覚から
「美味しい」という言葉に
意味を折り重ねられてゆく


このように
言葉の意味は
経験に培われ
この経験をもう一度味わいたいと思う再帰性の心が
その食べ物を探したり
その食べ物を同じように加工したりする情熱を
誘発する


経験が言葉となり
言葉が意志を形成する


言葉が
経験と意思の間を取り持つのだ


その意志により導かれた新たな経験が
さらなる言葉となり
さらなる意思へと連なってゆく


この連なりの中で
食文化が熟成する


食文化の中で
食材から切り離された言葉は
無意味に漂い
言葉から切り離された食材は
路傍に捨て去られる


言葉と食材は
人間問う触媒を通じて
触れ合い
食文化を築いている


クマノミとイソギンチャクのように
言葉と食材が共生しているのだ


そして
必然であるかのように
自然と
食文化が引き継がれてゆく


お餅を
切り餅にする文化と
丸餅にする文化がある


どちらでもよいであろうことも
それぞれの文化の中で
そうでなければならないような必然が
引き継がれてゆく


その非合理的な義務を楽しむのも
生きている大いなる意味なのだろう


食べ物の上で
蠅が手をする足をする


この蠅の行いも
そんな非合理な義務を楽しむ
長年の経験に裏打ちされた意志を伴う
大いなる生きる意味の一部なのだろう


やれ打つな
蠅が手をする足をする 小林一茶


お他人様の文化を
お気軽に非難せぬ心掛けが大切だ

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