ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

徴候と憶測:徴の機能とゲン担ぎ


前を走っているトラックのバンパーに
「毒」の文字が大きく表示されていた


このバンパーに取り付けられた標識は
荷台に「毒」が乗せられているという
注意喚起に違いない


「ぶつけたら大変だ
 いつも以上に注意しないといけない」
そう思わせる代物だ


でもどうだろう
仮に
空荷のドラックであっても
このような「毒」という標識がついていると
猛毒の荷物が乗っているように感じてしまう


トラックに
毒が実在しようとも
毒が実在していなくとも
この「毒」の標識により
トラックに乗せられた毒が
私の脳裏に実存することになる


「毒」の標識は
そんなあれこれを想像させる徴である


蛇を見ると
たとえ毒を持っていない蛇であっても
毒蛇のように感じてしまう人は私だけだろうか?


様々な徴が
先入観と結びついて
憶測を展開させてゆく


四葉のクローバーを見つけると
何かいいことがありそうな気分になれるのも
そんな憶測の展開の賜物だ


大きなサイレンの音を聞くと
何か危険が迫っているのではないかと
身構えてしまうのも同じだろう


経験の記憶が
何かの徴と結びついて
先入観が形成されているに違いない


験担ぎをするのも
そんな先入観を大切にするからだろう


この験担ぎにより
言葉が機能している


言葉は徴である


その徴により
他者に何かを想像させたであろうという実感が
経験として積み重ねられ
験担ぎのように
また同じ徴を使い
同じ何かを他者に想像させる


そんな繰り返しで
言葉は成熟してきたに違いない


言葉は徴であり
その使用は験担ぎである


うまくいく験担ぎは
正当なものとして馬鹿にされないが
うまくいかない験担ぎは
まやかしと馬鹿にされる


そんな正当化と排斥にもまれながら
言葉は成熟してきたに違いない


徴を覚え
徴に反応する


そんな人間の習性により
徴に囲まれた人間は
その徴に従った人格を備えてゆくらしい


徴は
空荷のトラックの「毒」の標識のようなこともある


それでも
徴に囲まれたからには
その徴に反応して
上手くいくことも
下手をすることもある


験担ぎは
自然淘汰されてゆくのだ


徴の適者生存である


権力者や神様は
そんな験担ぎ競争の勝者ということなのだろう

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