予定と実践:いびつになってこそ価値が出る言語世界
国連事務総長が記者会見で
「国連の精力的な努力が実り
この度
ロシアがウクライナから撤退することを表明しました」
と発言した
そんな映像をAIは合成することが出来るのだろう
しかしこのような映像は
ディープ フェイクとは言えないだろう
信じる人がいないからである
引き続き
ロシアの大統領が
同じ内容の記者会見をする映像が公開されても
「あれ、あれ、嘘だろう?」と思う程度で
誰かがいたずらをして作ったんだろうと思われてしまうのが
関の山である
ディープ フェイクにも
現在はびこっている記憶との整合性が必要である
すなわち
現在に適応的でなければならないのである
適応的でなければ
淘汰され
ディープ フェイクにもなれない
戯言なのである
別のある日
国連事務総長が記者会見で
「アメリカ合衆国がイスラエル建国という
実験的試みの失敗を認め
同国の承認を取り消しました」
と発言した
こんな映像も
先の例と同じく
ディープ フェイクにもなれないだろう
*
言葉というものは
正しいをも
誤りをも取り込んだ
「全て」になり得る
しかし
その「全て」を
淘汰し選択し
人間が
「全て」からかけ離れたいびつな言語世界を形成している
適応するということは
いびつになり
偏った価値観の下に
恒常的に落ち着くことができる状態ということになるだろう
神話がそうであるように
選りすぐられたいびつに価値を認め
人類はそれを守り続けてゆくのである