予定と実践:あまりにも保守的な現象の中で
時間を限りなく裁断して顕れてくる現在は
様々な動きのベクトルの集合となる
別々の方向に向いているベクトルもあれば
同じ方向を向いているベクトルもある
命令のような言葉が織りなすベクトルと
感情が織りなすベクトルも
同じ方向を向いたり
違う方向を向いたりしながら
時間は推移している
とある時間の断片では
同じ方を向き
別の時間の断片では
違う方を向くのである
空気の流れも
大きな流れに乗って流れている分子もあれば
それに逆らう方向に流れる分子もあるだろう
化学反応も
たとえば
水から水素と酸素に分解する反応の方向にある分子もあれば
酸素と水素から水へと分解する反応の分子もあるだろう
平和に向かう動きと
戦争に向かう動きも
それぞれのベクトルとして現在を織りなしている
こうしたベクトルが
交通整理され
整然と並んでいると
安定した秩序が表れる
川の流れは
常に一定方向に流れている分は
風向きが変わる空気の流れよりも秩序だっている
護岸と川底の傾斜がもたらす恩恵としての秩序である
車の流れが道路や道路標識や法律で制御されているように
水の流れの秩序は
水以外の物体で維持されている
言葉の秩序も
言葉以外の感情や風景で制御され
理性の秩序も
理性以外の身体や環境で制御されている
生体内では
様々なベクトルが
時間を連ねながら
互いに制御し合い
循環し
恒常性を維持している
川が今の川のように流れている理由は
道路が今の道路のように作られて経緯があるのと同じような
過去のベクトルが関与している
当たり前の話ではあるけれど
今を形成しているベクトルには
過去からの慣性が作用している
こうした慣性において
私の心臓も動き
私の中で血液が循環している
そして
この感性を未来に伝えるために
今のベクトルを保持できるように
私は努力を重ねている
この保守的な動きの中で
時折
どうしようもなく私は自由を求めてみたくなる
社会は
川の流れのようでいて
どこか
風の流れのような自由がある
この自由に翻弄されながら
人と人が
出会い
そして別れる