ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

仕切られて


多細胞生物は
文字通り
たくさんの細胞からできている
この細胞という言葉の語源は
「小さな部屋」だそうだ


多細胞生物には小部屋がたくさんあり
それぞれがそれぞれの営みを続けている


それぞれがそれぞれであるために
細胞膜という膜で囲まれた
小さな部屋が用意されているというわけだ


膜で仕切られることで
その内部と外部で
それぞれの別世界が築かれる礎となっている


膜が壊れたら
外部と内部が混ざり
世界が混濁する


このような混濁による
秩序崩壊がおこらぬように
様々な社会が
仕切られながら成立している


仕切り役には
重要な役割がある


分離するだけではない
分離された世界の間を調整する役割だ


仕切り役があってこそ
仕切りの内部で共役関係が成立し
予定された共役の連鎖が実践できることになる


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メモ


劇場の幕が上がり
華やかな舞台と客席が同じ空間となる


劇場の幕が下り
客席は舞台から切り離される


幕が上がっていても下りていても
舞台と客席の間には
目には見えない仕切りがいくつもあり
いくつもの仕切り役がそれぞれを仕切っている


この仕切り役の機能により
舞台の上では舞台の役割が演じられ
客席では客席の役割が演じられている


そのどこかに
役割を演じないものが現れると
舞台と客席からなる秩序がほころび
場合によっては崩壊する


マナーや道徳といった情報も
重要な仕切り役だ


極端な例にはなるが
爆弾や銃刀を所持しないという法律も
仕切り役だ


様々な仕切り役を育て
社会が分断され調和し
機能的な秩序だった社会が成立している


混濁を避け分断する
ただ
分断するだけではなく
調和も求める


仕切り役は大変だが
人間は
言葉を使い仕切り
多彩な機能を発揮させることに
長けていたからこそ
現在の繁栄をもたらすことができた


仕切り仕切られ
共に栄える


仕切りの中
それぞれに歪みながら
個性的な秩序を成長させ
他の秩序と協調したり排斥し合ったりする


このような仕切りが
多重に存在する言葉の世界は
悩みが尽きない喧騒の世界だ


たくさんの仕切りの中で
それぞれの仕切りの中の正しさが幾重にも主張され
その多重かつ多彩な組み合わせの中で
状況に応じ
次々と微妙に異なる正義を選び続けていかなければ
言葉を使う機能を果たせない
・・・・ということならば
    それはたいそう忙しいことだ

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