生れてこのかた
わたしはこの袋の中にいる

身の丈の大きさのこの袋の中にいる

デカルトの懐疑論さながらに
袋の中にいることを否定しようとしても
私を閉じ込めている袋を破り
思考などできやしない

わたしは
生れた瞬間から
この袋小路の中押にし込められていたようだ

しかし
なんと広い袋小路だ

いいや
私が小さなだけなのだろう

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メモ

考えたことがあることを
大風呂敷に並べたとする
そうすると
わたしはその大風呂敷の上を
右往左往しながらうごきまわる点になる

動き回るのが大変だから
風呂敷の上に道を創り
住所を定めて
いろんな場所にたどり着きやすくしたりする

ただそのように整備した場所ですら
広くなると行き来も維持も大変になる
だから
速く移動できるような
高速道路や新幹線がほしくなる

それでも移動は大変な時があるから
風呂敷の上に高層ビルを建てて
あまり移動しなくても良いように工夫する

このように
風呂敷の上に都会をいくつも作り
都会の間を行き来する

都会に飽きたら
海原を眺めに海岸線を歩いたり
まだあまり行き来のない
荒れ地や高山を歩いてみたくなる

夜空に見えるあの星に行くのも良いだろう

私は袋の中にいる

袋の外を模造した袋の中の大きな世界に
小さな足跡をつけている
小さな小さな袋の中で
足音もなく
滑らかに動いている

小さな袋の中の世界は
この袋の外に世界とつながっている
外の世界が揺れ動くと
小さな袋も大きく揺れたりする

そう
小さな世界は
どこかで外の世界とつながっている
だからわたしは
この小さな世界から
外の世界へ出る道を探すのだけれど
どこにも外に出る道は見つからない
だから
生れてこのかた
わたしはこの袋の中にいる
この袋の中から
外の世界を眺めては
袋の中を整理する
この袋を移動させ
外の世界のいろいろな景色を眺めては
この袋の中を豊かにしてゆく

私は
私のできることしかできないでいる
もしかしたら
できることもできないふりをして
この小さな袋の中の
小さな世界に安住している

それでよいのか
それがよいのか