私は
言葉からできてはいない
言葉の集合でもない

私の周りに言葉が漂い
私と言葉の間に
密接な関連が存在している

しかし
私は言葉でもなく
言葉の集合でもない

言葉ではなく
言葉をも発しそれを聴ける存在である

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メモ

私は
過去の私を踏襲している

その踏襲は
言葉を通していることもあるのかもしれない
映像や音声といった
知覚を通していることもあるかもしれない
これらの記憶も関与しているだろう

心臓の拍動や
胃や腸の運動も
過去の私を
未来に踏襲させる一助だ

様々な私の部分が協調し調和し
私を未来へと送る神輿に乗せている

今まさに切ろうとしている爪
この右足の親指の伸びた爪の武骨な硬さも
私が踏襲してきた私の一部だ

「いままでありがとう」
そうつぶやきもせず
切りとられた爪をゴミ箱へ捨てた

こうして
古くなり不要になったものを
私の都合で捨てながらも
私は私の同一性を保ちながら踏襲してゆく
こうして
同じではないものが
同一な系譜として踏襲されてゆく

やがて私も
踏襲されてゆく人間の系譜から
切り取られた爪のように
剥がれ落ちてゆくのだろう