社会の皮を被った「わたし」
かみさまも
窮屈な思いをしているに違いない
かみさまは無明に宿っている
その無明を科学の光が照らし始め
野生動物さながらに
かみさまも生息場所を狭められてきた
それでも
科学的な理屈よりも
経験則が生き生きと輝いている領域で
かみさまはしっかり息づいているのだけれど
ここにも
AIが侵入しようとしている
経験が
マスデータとなり
解析され
最適を指し示し
これこそが人類が従うべき道だと
AIが解を出すのだ
人は迷いの中で
助言を求める
かみさまの助言
科学の助言
AIの助言
様々な助言の中
何を選ぶべきなのか?
それを決めているのは「わたし」
この「わたし」は
どんな助言を身にまとうのだろう
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メモ
さまざまな社会規範が
「わたし」に浸み込んでいる
そんな複雑な「わたし」を
たまに洗濯してみたくなる
すると
ラッキョウの皮むきのように
中身すらなくなるように
とても
とても
かあるくなる
そらにとんでいってしまうくらいにかるくなる
でも
本当にそうなってしまったら
からだがかわいそうだ
魂さえなくなったからだは
私ではなくなって
途方に暮れて
母を見失った子供のように泣くのだろう
ああ
また皮を被って
重たく身体に浸み付こう
そして
社会に浸み付こう
社会の重い皮をまた被り
私に戻るのだ