ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

狼と鬼


昔昔あるところに
それはそれは恐ろしい鬼が住んでいました


この鬼は
人間にはとてもとても恐ろしい鬼でしたが
犬や狼にはどうということもしませんでしたので
たくさんの犬や狼が
鬼の食べ残しに群がっておりました


ある日
鬼がとてもおいしい料理ができたので
大事に大事に少しづつ食べておりました
そんな大事なお料理を
狼たちががつがつと
あっという間に平らげてしまいました


これを見てしまった鬼は
たいそう怒って狼をたたき始めました
始めのうちは黙ってたたかれていた狼も
あまりにもしつこい鬼の攻撃に反撃しました
腕をかみ
足をかみ
顔をひっかきました


それを見ていた犬たちは
あまりの剣幕におろおろしていました
どちらの見方をしようか迷いながら
ただただ困っておりましたが
「何をしている!早く狼をやっつけろ!!!」
そう鬼に叫ばれて
鬼と一緒になって狼を攻撃しました


その日から
鬼は人が変わったように
犬たちをとても大切にするようになりました
どこへ行くにも一緒です
犬がお腹が減れば
ちゃんとご飯を用意してあげるようになり
犬たちの群れはどんどん大きくなりました


こうして
犬たちをとても大切にしているものだから
鬼は
だんだん優しい気持ちになってきて
だんだん鬼ではいられなくなってゆきました


そして
いつの間にか
人間になってしまいました
そうなると
人間は鬼であった時よりも
たいそう犬をかわいがり
逆に
ずいぶん激しく
狼をこらしめるようになりました


それからというもの
狼は鬼を恐れて
森の奥深くで暮らしています
やがて
人間に滅ぼされてしまうのかもしれません

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