欲望に振り回される心地よさ
ネット社会が進展し
物欲が萎えてきていると聞く
現実より
電波信号に恋い焦がれる時代
物体を支配する喜びよりも
ネット社会をリードする喜びが
優っているのだろう
*
ネット社会は
発信する側が
受信する側に認知されて成立する
車の運転よりも
乗馬に似ている
車はマニュアルに沿って動かせば動き
マニュアルの応用はさほど要求されない
しかし
乗馬は
基本的なマニュアルよりも
馬の個性を知りそれに応じた対応が要求される
乗馬は
相手のある世界だ
馬に受け入れられない騎手は
振り落とされる
情報社会は
相手のある社会だ
相手が主体を選別し続ける
*
ネット社会は
目に見えぬ無数の相手の目を気にする社会だ
その相手に呑まれると
何時しか自分はなくなり
相手の操り人形になってゆく
目に見えぬ相手が望むことを探し
自分が望むものから目を背ける
*
自分に戻る時間のなかで
欲しいものがなく時
自分は何者なのかぼやけてゆく
何かを欲しがる所有欲に
自分を感じる時がある
自分がいる
はっきりと主張する自分がいる
純粋な自分が欲望を暴露している
*
私には欲がある
その心地よさを何で感じるのか?
時代が個性を創造してゆく