無機質な月に誘われて
月に兎は住んでいないらしい
月は死んだ無機質な世界であるようだ
そんな月でも
眺めていると
希望の光を届けてくれる
希望の種は
月にあるのではなく
生きている心に宿っていて
この種の発芽を促す刺激を
月の光からもらうのだ
人に会い
本に会い
景色に会い
様々な希望の芽を伸ばす
それと同時に
様々な種をもらい受ける
その時に有益なもの
その時に会いたいもの
そんなものばかりに接するのではない
様々な未来の出会いのための種も集めている
芽を伸ばさない種もあるのだろう
そんな種も拾い集めなければ
希望の芽を伸ばす機会を逸してしまう
つまらないことも
楽しい芽を吹き
美しい花を咲かせ
おいしい実をつけることもあるだろう
今夜も月が輝いている
あの人には
あの月に
何が見えているだろう
無機質な文字にも
素敵な意味が浮かんでは
また、消えてゆく