増殖する存在たち
痛みが存在する
空腹が存在する
認識が存在する
私は認識かそれとも身体か
いずれにしても
ここに私が存在する
やむを得ない事情で右手を切断していたとしても
右手に痛みを認識することがあるという
存在しない右手に
いつまで痛みは存在するということだ
痛みと身体が共存している訳でもない
無いはずのものを認識する
だから
認識は無限増殖する
際限のないものが
際限のあるものを支配しようと躍起になると
不協和音も響くことがある
認識をどこかで黙らせなければならないだろう
身体に即した
いわゆる
身の丈に併せた認識で
我慢しておかなければならぬのだろう