ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

吟味するこころ


「アイデンティティーを確立せよ」
そんな言葉にあこがれて
自分らしさがわからない自分を歯がゆく思った


他人との交わりの中で
他人の中にあこがれを抱き
それが自分に欠けていると嘆いたり
他人の中に嫌悪を感じ
それが自分の中にもそれがあると嘆いたり
自分を棚に上げ
他人を非難したり称賛したりした


人と人の間には
吟味しあう関係が存在する


この吟味に価値基準が必要になる
これがアイデンティティーを求める種なのだろう


自分の中で
揺れながら
少しづつ変わってゆくアイデンティティーを
吟味し続けている


絶えず
自分が自分を吟味している


そんな中で
アイデンティティーを確立するために
嫌いな自分の排除を目指す


自分で自分をいじめる


自分をいじめぬき
確立した立派なものに導かれ
他人にも同じアイデンティティーを強要する
それで
他人の中の排除すべきものを指摘し
それを追い出そうとする


いじめの種は
自己研鑽の中にあるのかもしれない


差別の種も同じ
自己分析とその吟味の中に
起源があろう


利き酒
審美眼
ソムリエ


吟味して不適切でも
猛毒にならない範囲で自分の中にとどめているものもある


自分の中にも毒があり
それを味わうことがある


存在を許せる毒とそうでない毒の区別の閾値が
揺れ動き
社会の中の温度差として顕われる


それにより不都合が生じると
社会としてのアイデンティティーが求められる


法律は
このアイデンティティーを成文化したものだ


アイデンティティーの規範として
見習うべきものの一つとして定められている


「アイデンティティーを確立せよ」
この言葉の中に
どれだけの規範的アイデンティティーが
潜在していることだろう


それを吟味できない子供のころに
たくさんの規範が埋め込まれている
そのことを否定すれば
自己の否定にもなりかねない


自己というものは
自分ばかりではなく
やはり
かなりの部分は社会から由来している


これには
良し悪しもあり
好き嫌いもある


自分の遺伝子も
社会の規範も
同じように
良し悪しがあり
好き嫌いがある


諦めなければならないことだろう
だからだろう
毒ともうまく付き合えるようにできている

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