ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

生命と反応:他力本願と自力本願


痛かったり
不安になったりするようにできているのは
なぜだろう


痛いのも
不安になるのも反応なら
嬉しいのも
しあわせなのも反応だ


良い反応ばかりなら
ありがたいが
痛かったり
不安になったり
苦しかったりする


嫌なことがあるから
それを避けようと
もがき苦しむ


もがき苦しむことが
生きる側面にあるということだ


もがき苦しみながら
出来なかったことを出来ることに仕上げる


失敗を重ね
改善を重ね
出来なかったことを出来ることに仕上げる


楽ばかりしていると
ただ生きているだけになる


だから
苦しいのも人生の薬なのだろう


それにしても
病気で苦しいのはなんともやりきれない


楽になりたくなる


それでも
この苦しみの向こうに
楽しい時間が待っていると思いながら闘病する


慢性の病ともなれば
その病とうまく付き合いながら
暮らす羽目になる


その病でいることが当たり前になる


不満足な自分の顔形と我慢して連れ添うようなもので
自分の不足を不足とも思わずに
漫然と暮らせるようになる


こうして
不足を不足とも思わず
漫然と暮らしていなければならない


不足を気付いてはならない


「不足だよ」と親切に教えてもらいたくもない




不足のまま
不足と知らず生き抜ければそれでよい




そのために
不足を指摘せず
不足を見守り
不足を補充してもらいたい


それが社会の優しさだろう


それが他力本願というものだろう




痛かったり
不安になったりするようにできているのは
なぜだろう


自力本願への誘いだろうか?

生命と反応:日常の精神というもの


法律に飲み込まれ生きているから
法律に守られているのか
あるいは
法律に守られたいから
法律に飲み込まれているのか


法律の外の無法地帯には
自由があり野蛮がある


キリストにはキリストの法があり
イスラムにはイスラムの法があり
日本には日本の法があり
ヒンズーにはヒンズーの法がある


段々畑には法面があり
雑草でおおわれている


法面は上の畑と下の畑を区別する隔壁となっている


この隔壁が
上の畑と下の畑の秩序を分けている


私は
法で仕切られた枠の中で暮らしている


この枠の外には
別の暮らしがあるのだろう


まだ見ることのない
華やかな暮らしがあるのだろう
いや
思うのも恐ろしい
みじめな暮らしが待っているのだろう


段々畑を遠くから眺めると
植物の組織の顕微鏡写真を思い出す


法面は細胞壁だ


壁の内側で
壁の外では生きられない面々が
あくせくと動き回り
壁の内側を謳歌している


壁を壊してはならない


壁のを拡げるのだ


壁の向こうを
壁の内側に変えてゆくのだ


法を超える訳ではない


合法なのだ


成長するということは
隔壁を押し広げてゆくことらしい


大会社になると
大国になるということも
同じように
隔壁を押し広げてゆくことらしい


人間が大きくなるということも
同じようなことなのだろう


横柄なものである


無法地帯や
自然は
縮こまるより仕方ない


品のない野生児どもを
教育しなければならないのだ


この教育の成果なのだろう
私の精神の内側に
様々な法面が形作られ
その法面を境に
上と下が入り乱れている


全体を見渡せば
谷底には清流が流れ
尾根には眺望の良い道が連なってる


ところが
日常は
段々畑の片隅で
法面に囲まれた狭い精神の中にある


目の前にある土手草を刈り
美しい法面を作ることに忙しく汗を流している


いや
実に何のことはない
笑顔で明るく
土手草刈りに汗を流している

生命と反応:争うということ


命の反応は
内部で激しく連鎖している


この反応の連鎖が維持されるよう
外部からの邪魔を極力排除している


隔壁の形成はその排除の方策の一つである


この外と内を隔てる隔壁は
外部による命の反応の妨害を阻止するとともに
命の反応を外部に伝えることを阻害している


外部との接触は
この隔壁により許容されたものに限られている


五感も
隔壁に設けられた外部と接触する穴である


穴ではあるが一方通行である


眼は
内から外を見るようにできているが
外から内を見るようにはできていない


だから目に見えるものにばかり気を取られていると
外の世界に飲み込まれてしまう


私は
外で動き回っているのではない
私は
内を動き回っている


穴の内から外を見ながら
内側を動き回っている


決して穴の外には出てこない私が
隔壁の内と外の違いをかみしめながら
「何事も思い通りにはならないものさ」と繰り返す


そんな不甲斐なさに嫌気がさして
思い通りにいかないものを
思い通りにいかせようと
穴の奥からタクトを振ると
争いが始まった


振り上げタクトを下すまで
カブトムシも争い続ける


その振り上げたタクトを下ろしてまで
生きる意味はあるのだろうか?


生きるべきか?死ぬべきか?


命の内側で
こんなことで
悩みながら
命の外側で
タクトを振り続ける


こんな風に
いくら外で頑張ろうとも
私は
隔壁の外には出らなない


だからこそなのか
私は必死に隔壁の外で生きたがっている


そうして
私は
次第に少しづつ
そうと気が付かない間に
外の世界に飲み込まれながら生きている