ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

局在と遷移:人生の重い荷物についての論考


人生は重い荷物を背負い
長い坂道を登るようなものだという


重い荷物の中身には
きっと
食欲と性欲がたっぷり詰まっているのだろう



食欲の対象は生き物だ


鉱物を食して生きられれば殺生不要なのだが
生き物を食べなければこちらが死んでしまうから
野菜や果物といった植物や
牛や豚や魚といった動物には犠牲になって貰い
栄養として摂取させてもらっている


重い作業である


命を奪いながらではないと
食欲を満たせないのだから
食欲は
思う以上に非常に重い荷物である



性欲の対象は異性だ


憲法から引用すれば
「同性の同意の下」でなければ
性欲は満たされないところがある


この同意を得るために
様々な工夫をするのだが
そうそう同意を得られるものではないところに
性欲という荷物の重さがある


生きてゆくために性欲を満たす必要はないものの
それでは世代を引き継いでゆけないので
動詞も満たさなくてはない無いものとして
背負わされ
そのために多くの時間と労力をかけ
悩みを膨らめて
自分で
荷物をより重く大きなものにしているようだ



食欲でも
性欲でも
対象以外に利害関係者があり
この利害関係者が
より荷物を重いものにしてくれている


リンゴ畑のリンゴを勝手に取って食うわけにはいかない
リンゴ畑にはその畑の所有者がいて
そのリンゴを摂ると盗人と言われてしまう


盗人は社会から悪とされており
社会の中で肩身の狭い思いをしなければならず
ともすれば罰せられ自由を束縛される


こうして
利害関係者により
リンゴは禁断の果実になる


おいそれとリンゴを食べる訳にはいない


食欲が重い荷物になるのには
利害関係者も大いに貢献しているのだ


さて
性欲の利害関係者も
荷物を重くする重要な原因となっている


恋敵であったり
ロミオとジュリエットの様な家族関係であったりと
古今東西
こうした利害関係者により邪魔されればされるほど
恋は燃え上がるものとされているようだ
そして
より大きな苦難を超えられるのが本物の恋とされているようなところがある



食欲や性欲といった荷物が
その対象や利害関係者に反応するよう仕向けている


この仕向に従わなければならないという定言命法があるらしく
踊らされるのが生命としての宿命らしい


そして荷物の重さに悩みながらも
それを乗り越えて生きてゆく能力も授けられているから
ありがたい


荷物に仕向けられた反応に対して
対象や利害関係者から反応が返ってくる


逃げることも極されることも許容されることもある


許容され
反応が好循環すると
そこに関係性が成立し
秩序が生まれる


なおさらに
ありがたき幸せの局在だ


美味しい食事と優しい人に囲まれた安穏とした日々


それがあれば
とてもありがたき事である


少し荷物が軽くなる


荷物は軽い方が良いのだろうか?
それとも重い方が良いのだろうか?


人間には
重い荷物を担ぎ合い
より重い荷物を担げるか競い合うところがある


そんな競い合いの心も
重い荷物のひとつなのだろう


頭の中で担いでいる記憶の重さを
競い合いながら生きているところがある


愚かと言えば愚かであり
尊いと言えば尊い荷物である

局在と遷移:反応の循環による結びつき


記憶にないものに対しては
沈黙しなければならない


年を取ると
言葉が出てこなくなる


「あれあれ」
「そのなんだ」


言いたいことが頭の中に在るのだが
きちんとした言葉にならない


言語ゲームは
ルールを忘れると参加できないらしい


言いたいことは「ある」が
それに該当する言葉は「ない」


この「ある」と「ない」の間を行き来する間に
時間が経過し
その時間を穴埋めするように
「あれあれ」
「そのなんだ」と意味の通じない言葉を繰り返す


記憶の中で
ものと言葉が結びついている
ことと言葉も結びついている


だから
記憶をうまく取り出せなくなると
会話が途絶える


きっと思考も途絶えるのだろう


ものごとから言葉に変換する反応と
言葉からものごとへ変換する反応を繰り返しながら
思考し
記憶しながら
会話を成立させている


反応の上流に
ものごとが配され
次に
言葉が配されしながら
ものごとと言葉の間で反応の循環が生じている


循環だから
言葉が出てこない場合もあれば
ものごとが出てこない場合もある


どちらも出て来て
循環が成立し
ものごとと言葉が結びついている


少し厳密にいえば
ものごとの記憶と言葉の結びつきだ


反応することもなくなり
反応されることもなくなれば
結びつきは消えてゆくということだ


地上に生きるということは
地上に反応し
地上に反応されることであるように
言葉は
記憶の上流として反応されたり
記憶の下流として反応したりしながら
記憶と結びついている


記憶力がいいということは
より多くのことと結び付けるということだろう


より深く知を愛するということは
より多くの記憶と戯れることなのだろう


だから知を愛すると
記憶力が恋しくなる


いくら知を披露しようとしても
記憶にないものに対しては
沈黙せざるを得ないのだから仕方がない

局在と遷移:反応の流れ


言葉は
人間を介して物質に影響を及ぼす


だから
人間の戸の届かない所には
言葉は影響をもたらさない


人間の手が届かない宇宙空間には
人間の匂いがしない
そして
言葉の影響もない


その宇宙が
言葉になり
人々は宇宙について語り合うことが出来る


宇宙は
人間に影響を与え
言葉に影響をもたらす


さそり座やはくちょう座は
大昔から存在してきた


天の川は様々な物語に登場する


言葉をやり取りする反応の上流の一つに
宇宙があるらしい


今でも
科学者たちは
宇宙からやってくる
ほんの些細な光や電波を受け取り
宇宙の起源などにに思いをはせる
そして
言葉を紡ぐ


そしてその言葉を聞いた人々が
もっともらしく宇宙を語る


こうした語り継ぐ反応群が
宇宙から人々の間へと
反応の連鎖が下流へと流れてゆく


その下流への流れが
ともすると上流へと遡上し
宇宙からの情報を感知した科学者へと届き
会話が生じる
それは世間話のようなこともあれば
学会での学術的な議論であることもあるだろう


ウェブや書籍を介した会話でもあるかもしれない


ここに反応の循環が生まれる


こうした循環は人間の手の届く場所に
局在として現れる


こうした言葉の循環が
世代から世代へと
星座や天の川の物語を伝承させてきた


天の川や星座には届くことのないであろう物語を
幾度となく人間の世界で循環させながら
世代から世代へと伝承の反応を
下流へと循環のらせんを描きながら承継してきた


生命樹も
伝承のらせんを下りながら
枝葉を伸ばしながら
世代を超えて来た


手の届くところで
DNAの言葉を
循環させながら
遷移しながら分岐を繰り返し
時に袋小路に入り込みながらも
必死に世代を超えて来た


これからも循環する局在が
未来へと
らせんを描きながら流れ下ってゆくのだろう