規則的相当性:規則的相当性がもたらす世界
UCUはセリンであり
AAUはアスパラギンである
核酸の塩基配列と
それがコードするアミノ酸の関係である
塩基配列が翻訳され
アミノ酸が重合し
タンパク質が合成されるシステムが
この塩基配列とアミノ酸の関係を維持している
この関係がある限り
UCUはセリンであり
AAUはアスパラギンなのである
ここに規則的相当性が存在している
「あれは雲である」と
空に浮かぶ雲を指さす時
指さした先に存在するものと「雲」という言葉の間にも
規則的相当性が存在している
「この時計は10万円です」
「この大根は200円です」
こうした言葉も
規則的相当性が存在しているから成立しているのであり
物質的に
時計が紙幣であるはずもなく
大根は硬貨ではないのである
規則により
同じものと定義されているから
あれが雲になり
時計が紙幣になり
大根が硬貨になり
塩基配列がアミノ酸になるのである
1+1が2であることもまた
規則的相当性のなせる業である
写真は私ではないけれど
写真に写る私も私なのである
写真を撮ってもらう度に
私は増殖してゆくのである
見られる度に
富士山にかかる雲はその数を増やしてゆくのである
規則的相当性がなければ
こうした増殖を起こすことは出来ない
硬貨は
鋳型に金属を流して製造される
鋳型は硬貨ではないけれど
硬貨との間に規則的相当性が設けられている
私は
規則的相当性により
大人となり
社会人となり
父となり
祖父となっている
銭湯に行けば入場者にもなるし
戦争に行ったのならば戦士にもなるのだろう
いま
規則的相当性により
人間として生きている
この人間という規則が崩壊する時
私はあの世に行くことになるだろう
1も2も
規則的相当性が崩れると
ただの模様になるのだろう
あの雲も
「雲」ではなくなるのである
規則的相当性において
言語も
経済も成立している
命すら成立しているのである