具象と抽象:生き延びるための準備
生命現象は
それが起こる前の準備段階が整っていてこそ
予定通りに進行する
カルビン回路が首尾よく回るためには
酵素群がそろっていなければならない
スタートした時には
既にその結果が決まっているというほどに準備が大切なのである
生き延びることは
生き延びるための準備をし続けることなのである
ドミノ倒しや
ピタゴラ装置は
その印象的な現象の連鎖よりも
個々の連鎖関係を準備することの方が
大変であり大切である
車を走らせることよりも
その準備としての車の設計及びその生産は
とても大変なことであり
とても大切なことなのである
生きるということは
準備された道の上を走ることである
膨大な時間と犠牲の上が
生命は
進化の系統樹を樹立してきた
この枝の先端で
私は
準備された道を上を生きている
真似事と改良を積み重ね
うまくいかないものがそぎ落とされた
整備された道の上を歩いているのである
その道の上で
さらなる準備を考えているのである
今日は
昨日の準備の検証と
明日への準備からできている
具象的な今を生きているのではない
抽象的な昨日と明日を生きているのである
今をただ楽しんでいる訳にはいかない
何かを成し遂げても
すぐに
次の準備に追われてゆく
ここに今という現実に
不自由や
解放よりも閉塞を感じる源があるのだろう
準備ばかりが生命の宿命なのかもしれない
のんきに見えても
ワニはワニの閉塞の中で
猫は猫の閉塞の中で
それぞれの今を
準備に追われながら過ごしているのだろう
飯のことを考えることも
飯を食らうのも
明日への準備の一環なのである