ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

対応的同一:差異は同一に先立つ


同じにされている存在が
同じであることに違和感が生まれると
それは別々なものと認識されるようになる


異質の認識よりも
違和感が先に立つ


この違和感の先に存在するものは
同じであるという認識の下でも存在していた
差異である


認識対象を基準とすれば
差異は同一に先立つ
という訳だ



同一は創られる


能動的再現により
同一が創造され
差異が統一される


あるいは
差異は除外視される


認識を基準とすると
同一は差異に優先されるのだろう


むしろ仕方がないのかもしれない


同じように見えてしまったら
隠れた差異があっても
気が付かなければ同じだから仕方がない



同一が創られるのと同様に
差異も創造することができる


同一を創造するように
差異を能動的に再現することもできる


たとえば
人には名前が付けられる
家畜には
識別番号が付される


これは
対象自らに原始的に存在している差異ではなく
後天的に付された差異である



多細胞生物には
免疫機能があり
外部からの細菌やウイルスなどの侵入者を
排除している


同じ生物種でも
他者の細胞は
免疫の餌食になる


身体は
このような免疫機能により
「自己」による独占が達成されている


細胞一つ一つに「自己」の標があり
「自己」の標と符合しない部外者が
免疫により排除され
身体の同一性が保持されているのだ


そうして
免疫は同一を眺め
身体は同一を主張する


この調和的共鳴の中で
身体の同一性が保持されている



私は
私の名前の記憶と共に
時を経過し
成長してきた


これからも
私は
私の名前や様々な記憶とともに
未来を拓いてゆくのだろう


しかし
記憶喪失になったなら
それは危機に瀕することになる


それでも
私は私として
時を過ごしてゆくのだろう


年を取りしわが増えても
変わらない顔つきが
私としての同一を保持しながら
私を渡しとして維持してゆくのだろう


記憶だけが
私の同一性を保持しているのではない


こどもの私と
年老いた私とは
異なっていながらも同じである



同一であることと
差異があることが
並行して存在するのは
同一や差異が認識の賜物であるためだ


小鳥のさえずりの
ピーチクと
パーチクも
同じといえば同じであり
異なるといえば異なるものになる


聞き分ける能力と
聞き分ける動機がないと
勉強したはずの英語も
どんな単語の発音も
違っているはずなのに
みんな同じに聞こえてくるから
困ってしまう

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