肉は腐り、思想は忘れられてゆく
肉は
腐る宿命にある
だから
色々と工夫を重ねて
肉を腐らないように保存する
腐るのは
腐敗を導く細菌が原因だ
だから
この細菌と肉が接触しないようにすると
肉は腐らずにいる
冷凍したり
真空パックにしたり
紫外線を当てたりする
体内では
免疫細胞が
腐敗菌を殺して繁殖を防いだりしている
*
歳をとると
加齢臭が気になる
どこかが腐るのだろうか?
腐ると嫌な臭いがする
腐ったものを食べると
おなかを下す
だからだろうか
身体に悪いものは
嫌な臭いがするようにできている
嫌な感覚が沸き上がり
未然に悪いものを食べないようにできている
とても合理的で合目的的だ
*
いい匂いがしたり
嫌な臭いがしたりする
感覚というものは
相対的でご都合主義の思想からできているらしい
絶対不変の形而上的な存在を
感覚に求めようと
知を駆使してゆくと
知は
還元主義を離れ
統合主義へと歩を進めてゆくことになる
様々な原因と結果の線を
たくさん描いてゆくことになる
そもそも
感覚が
存在と存在を結び付ける
統合的な存在なのだから
それは仕方がないことなのだろう
*
腐らないように
様々な工夫がなされている
それぞれの工夫は
相対的で
統合的で
なによりも
合目的的だ
目的において
感覚は進化してきた
思想も
同じように進化してゆくのだろう
思考は腐りはしないが
忘れられてゆく
思考も進化をするのだろうが
それ以上に
思考が忘れられないように
様々な工夫が思想の辺縁で進化して
加齢臭の発生も防いでいるのだろう