主観にうごめく幸せの俎上
この世に生まれてきた
まずは
掬われたのだ
掬われて
生きるという俎上に載せられた
この俎上に載せられて
しばらく育つと
この俎上は
ひとつではななくて
たくさんの俎上に分かれていることに気づいてくる
どの俎上に掬われたのかで
運命というものが違ってくることにも気づいてくる
そうなると
あっちの俎上に載ってみたくなったり
やっぱりこちらの俎上が良くなったり
ということになる
今自分の載せられている俎上が最高だと信じれば
今の精神は救わることになる
*
この俎上に掬われて
ここを信じて救われる
これが主観の良いところであって
理性は様々な遡上を比較検討して
主観に間違いを認めさせようとする野暮な真似をする
*
様々な俎上が
魂を掬う網を投げ入れ
魂を掬いあげている
掬うことが
救うことだと
信じる者がたくさん現れる
そうして
掬い取る網も改良され進化してゆく
教育もうまれ
様々な分野で専門化が進み
より高度な俎上が次々生まれる
主観は自由だ
人間という俎上に乗せられている
人間は幸せの俎上にあると
信じている
それでもたまに
「猫に生まれなくて
良かったのだろうか?」と振り返る