動くことで維持されている形たち
目に見えるものは
形があって動いている
逆に
形があって動いているから
目に映る
一見すると動いていない形も見えるけれど
この動かない形から
光が「動いて」目に入ってこなければ
目には映らない
だから
時間が止って
光も止まれば見えなくなる
そもそも
時間が止まれば見るということもできなくなろう
さて
時間が止まれば
原子核の周りをまわっている電子も止まり
太陽の周りを回っている地球も運動をやめ
遠心力が働かなくなり
重力だけになり
太陽に落ちてしまいそうだ
でも
時間が止まっているから
太陽に落ちることもできずに
ただそこに留まる
このような状態から
再び
時間が動き始めた時
地球は
軌道を回る力を得ることができるだろうか?
電子も心配だ
動きを失った電子は
陽子に引き付けられて
電子軌道に戻れないかもしれない
動いているから維持されている形がある
動いていないようでいても
動き続け
「今」が流れてゆく
「今」
単独では維持できない「今」が
動きの中で表れている
記憶という残り香を漂わせながら
「今」が消えてゆき
形もゆっくりと
動きの中で先程までの形を消してゆく
*
目の前にある
化石になった三葉虫が石として動いている
形があり動いている
だから見えている
もはや数億年も
こうして
同じ形のまま動いている
凄いことだ
しかし
生命の反応が消えている
あわただしく反応し
派手に大げさに動き回る動物の反応は消えている
寂しいことだ