存在と単位:正常に歪ませてゆくこと
キスをしてもいいと思える相手は
100人のうちどれくらいいるだろうか?
わたしは男であり
少なくとも男の人とキスをしたいとは思えない
そこで
50人は外されるだろう
さらに
様々な理由で
もっともっと少なくなってゆく
誰も彼もを平等に扱わないのである
キスをしたいと思うのが普通であるならば
したくないのは歪みであり
キスをしたくないと思うのが普通であるならば
したいと思うのは歪みなのである
結局のところ
したいのも
したくないのも
どちらも歪みなのだろう
誰しもが持つ
正常な歪みなのである
さて
胎児の成長過程で
指は手のひらから植物の芽のように生えるのではなく
指の間の細胞群が死滅することで
指が現れる
手をを形成する細胞たちの運命は
歪みながら
生の方向へと進む細胞たちと
死の方向へと進む細胞たちに分かれてゆくのである
正常な歪みが
指を形成してゆくのである
ひとつの受精卵が
分裂するたびに
それぞれの細胞の運命は
それぞれの方向へと正常に歪められ
心臓の細胞になったり
神経の細胞になったりしながら
わたしを形作ってきた
わたしの顔の輪郭や
目の形は
わたしの歪みであり
他の人たちの歪みとは区別される正常において
維持されている
そんな私が
わたしの歪んだ好みで
わたしの周辺をいじりまわり
世界を歪め続けている
わたしのパソコンは
同じパソコンを使う他の誰のパソコンとは
違った歪みをもって維持されているのである
こうした歪みが維持される範囲が
単位として
他の存在から区別されている
地面の歪みは
その歪み方で
山や谷が区別されている
空気の動きを歪みとするならば
強風域や
微風域が区別されてくる
同じであるようなものが
同じでない歪みが
存在を特徴づけているのである
時空の歪みが
星やブラックホールとしてあらわている
時空の歪みである地球にこびりつき
有機物が
それぞれの歪みを維持しながら
循環している
美しき正常なる歪みたちの所業である
歪み
他とは違うから歪みである
わたしは
他でもないわたしなのである