制御可能領域の改良の蓄積としての進化
心筋細胞は
日がな一日
昼夜関係なく
収縮と弛緩を繰り返している
縮んで伸びて
また
縮んで伸びて
・・・・
この繰り返しだ
簡単に考えれば簡単だが
難しい作業を実に簡単そうにこなしている
という風に考えるのが筋だろう
筋細胞は
10や20どころではない
もっとたくさんの生体反応がかかわりあう
複雑極まりない作業の連帯があって
縮むことができる
伸びるのもまたしかりだ
このような
縁の下の力持ちのような作業がたくさんあり
そのそれぞれが調和的に機能発揮して歩くことができる
このような調和的機能が発揮でき
はじめて
周囲の環境への適応がある
まずシステムの内部の部分間の調和
すなわち相互適応があってこそ
システムの外部とのインターフェイスが機能するということだ
この外部とのインターフェイスが発達すると
その外部との相互適応が進展し
同一システムと解釈できるほど
緊密な関係になってゆくのだろう
個体内の部分間の相互適応の緊密さに比べ
個体間の相互適応の緊密さは希薄だ
この状況が
個体が独立しているという認識をもたらしてくれている
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メモ
細胞間の相互適応の緊密さは
細胞間の関係により大きく異なる
などとは普段あまり考えもしないが
個体間の相互適応の緊密さは
人間関係により大きく異なる
と
普通に認識できる
これは
人間関係の濃淡が重大な関心事であるからこそ
注意深く観察され認識され区別されるのだろう
日本にいると日本人の顔の区別をつけやすいが
外国に長く滞在した後に日本に帰ってくると
日本人の顔が皆同じように見えたりするらしい
同年代の顔の違いが鮮明にわかり
年配の方や
若年の方の顔が皆同じように感じたりのも
同じ理屈だ
自分の体の細胞間の関係は
とても調和的に機能している
たいへん緊密な相互適応の状況にあるが
それが当たり前になっていて
関心事とはなっていない
病気になると
関心が高まる部分も出てくるけれど
治ればまた無関心になる
相互適応的であるや否や
このことは
生きるにあたり重大事でありつづけているが
関心事となったり
関心事とならずにいたりする
相互適応的であり続ける部分には関心が向かず
相互適応的になったりならなかったりする部分に
関心が向くようにできているらしい
とても適応的だ
このような適応的な偏った思考で
進化論を考えると
環境への適応こそ
進化の原動力になるのだろう
あながち嘘ではないけれど
物理環境への適応よりも
同一遺伝子による支配下にある部分間の相互適応の調和的発達とその蓄積
これこそが生命の制御可能領域であり
神秘であり
進化の重要な歴史である
情報による予定調和世界の確立の歴史が重要であり
物理的環境への適応は副次的手段と考えるのが筋であろう