ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

生命力:トンネルを抜けると


川端康成の『雪国』の端々で
「徒労」という言葉に焦点が当てられている


確かに
傍目には「徒労」に見える努力を重ねながら
人は生きている側面がある


夢中になっている時には
「徒労」などとは思いもしていなかったことも
振り返ると
あれは「徒労だったかもしれない」と思うことは
いくらでもあるからだ


生まれて生きて死ぬ


この営みを「徒労」と思考することも
可能だろう


カエルは
何百もの卵を産むけれど
そのほとんどが成熟することなく
死に絶える


生き残ることができるわずかな確率にかけ
懸命にオタマジャクシは生きている


この営みに「徒労」という言葉を
重ね合わせることは
傍目の評価だ


オタマジャクシは
人間の思考の中の「徒労」という言葉を
知らぬままに生きている


考えてみれば
いくら高尚な志と思考を持ち合わせても
死ぬときは死ぬのだ


死に際し
今まだ築いて来たほとんどのことが「徒労」に化ける


それは
オタマジャクシも
私も同じだ


オタマジャクシと同じなら
私も「徒労」を背負い
無駄なことをしながら
生きる努力を重ねるのが道理なのだろう


祭りで
酒を飲み
馬鹿になり大騒ぎをする


生きている実感に満たされる


この喧騒が終わると
祭りの後の寂しさに襲われる


そのさみしさに戸惑いながら
また新たな夢中になれる「徒労」を求めて
歩き始める


バカ騒ぎをしている時は
トンネルの中の光景だろうか?
それとも
トンネルから抜け出た時の光景だろうか?


どこへ行くのかわからなくとも
トンネルの中を走り続けることに
「徒労」の価値があるのだろう

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