眼前の世界を
目を介して知覚している私がいる

だからなのだろう
目をつむると
私には暗闇しかみえない

目を含めた近くの能力が
知覚した世界を描いている

活字から文字を読み取る様に
眼前の世界から
風景を描く能力が私には備わっているらしい

この能力がなくなれば
活字から意味を読み取れなくなるように
眼前の世界から風景を取り込めなくなるだろう

私は
意味を再現するように
風景を描いている

この風景を描く能力が
目の内側と外側に対応関係を築いてくれている

人間には通常では知覚できない紫外線を知覚できれば
風景は異なるものになるのだろう

おなじように
他人の心を見通せる能力があれば
世界は異なるものになるのだろう

能力が
対応関係を築き
新しい世界を創造する

人間の手で加工する能力が高まり
世界は変わり続けている

能力により
世界の循環が維持され
この能力の変化により
世界の循環が遷移してゆく

道路わきに
猫の亡骸が横たわっていた

この猫を創造していた循環は
どこかで途切れ
停滞し
世界を創造する力を失った

当たり前のことだが
能力で維持された秩序は
能力の喪失で崩壊する

循環を軌道に乗せある能力の複合体が
それぞれが想像した世界を維持し続けている