人工衛星は
人工的動力によりその軌道が制御され
衛星として存在している

この動力の制御がきかなくなり
予定している軌道を外れると
もはや衛星ではなくなり
宇宙ゴミとなる

衛星から
宇宙ゴミを差し引くと
制御が残るということだ

物質は
衛星から宇宙ゴミを差し引くと
消えてしまう

軌道に乗って循環するための制御が
衛星を衛星足らしめているということだ

人間から
死体を差し引くと
やはり制御が残る

命の循環を維持する制御だ

この制御の在り様により
命は多様な在り様を循環している

人間に備わる感情は
そんな制御の一つであろう

うれしかったり
悲しかったりしながら
生きる方向を幸せと軌道修正してゆく

予定されていた軌道に障害があれば
それを乗り越えようと
感情が動き
達成すると達成感が訪れ
より大きな障害を乗り越えようとする強さが増し
軌道を維持する能力がより高まってゆく

品種改良を重ねられ
人間の趣向にあった果物や野菜や動物が
人間の力を借りながら生き抜いている

人間に褒められる事が
これらの生き物の生命線であり
人間の都合に沿うことが
これらの生き物の命の軌道となっている

これらの生き物が
人間に褒められうれしく思うか否かは
計り知れないが
褒められない個体は
淘汰されてゆく運命の中で
生き延びている

人間には
うれしいという感情があり
この感情も
人間の命の軌道を修正している

褒められるとうれしい

この感情は
育種され
品種改良をされる素質を提供してくれている

褒められるとうれしい
この感情が欠損することにより
人間の軌道は大きく
今とは異なる方へ遷移してゆくだろう

逆に言えば
この感情により
制御され循環している軌道があるということだ

この軌道がもたらす人間らしさの踏襲が
人間を人間たらしめ
私を私らしく描き出している一因だろう