悪徳と正義:振れ幅の大きな波と小さな平穏
内臓の正義と
理性の正義が異なる場面がある
食べてはいけないおいしそうな食べ物が
目の前に在る時である
食べてはいけない理由は
お金を払わなければいけないのにお金の手持ちがない場合であるとか
ダイエット中などの理由で
今は何かを食べてはいけない状況である場合である
内臓の正義も
理性の正義も
同じ頭の中でごしゃごしゃに駆け回る
そして互いに
相手を悪と罵り合う
意識の世界は
戦場と化すのである
どちらかが
相手を一方的にやっつけるような戦争ではない
互いに疲労困憊して
諦めるまで続く戦争である
一方が諦め
戦争に片が付くと
食べるか
食べないのかの決着がつく
しかし
どちらにせよ
その後もしばらく後悔が続くことになる
負けた方は
復活の隙を狙い続けるのである
こうした危うい均衡の上に
世界が成立している
何時だって
何かしら
「あちらを立てればこちらが立たず」なのである
正義の波が
盛り上がり衰退し
時代の波が出来上がる
それぞれの時代に
勢いの良い正義と
勢いのない正義が現れるのである
青春の頃の正義は
歳をとり衰えてきたのかもしれない
欲望も禁欲も強烈に駆け回った情熱は
何処へ隠れてしまったのだろう
欲望も禁欲もほどほどな平穏
平々凡々としたそんな平和が
歳をとった今となればありがたい