循環と義務:生命の環を紡ぐ欲望
欲望が
生命の環を動かし続けている
食欲がなければ
体を維持できないし
性欲がなければ
次世代に命をつなげてゆくことができない
生きてゆくためには
欲望を満たさなければならない義務がある
翌々や性欲ばかりではない
その他にも
様々な欲があり
それぞれに生命維持にとって
重要な役割を演じている
独占欲は
より確実に
より長く生命を維持するのに役立つし
支配欲は
より確実に
より強く欲望を実現するために役に立つ
人間には
承認欲求という欲望に支配されているところがある
この承認欲求は
周りの人に好まれたいという欲求だ
さみしさの源でもあるのだろう
敵が少なく
見方が多い方が生きやすいのだから
やはり生命維持にとって重要な欲望だ
この承認欲求を満たすために
男は男らしく
女は女らしく
年相応に
場に応じて
自分を着飾り
気の利いたことをお話ししたりする
理性的にふるまうのも
この承認欲求が導くものだろう
承認欲求がなければ
もっと自由に
もっと動物らしくいられるのだろう
日本人として
日本人らしさを身にまとい
日本人からの承認を受け生きている
それぞれが属する宗教の
宗徒らしさを身にまとい
規律を守りながら
宗徒間の承認を相互付与している
LGBTQも
承認欲求を満たすために
自分らしさの承認を世間に求めている
日本人らしからぬ日本人も
自分らしさの承認を世間に求めている
多様性社会への進化は
敵を減らし
味方を増やす努力を積み重ね
生命の環を維持できるかどうかを確かめながら
進んでゆくのだろう
欲望は必ずしも義務を形成するのではない
義務の履行を促すのが欲望であり
欲望は想定された義務により淘汰選択されている
淘汰選択の対象であるので
必ずしも正解ではなくてよいのだ
失敗したからといって
不正解なわけでもない
運が悪ければ
良いものも失敗に終わるのだ
命の環には正解はない
命の形は一つではなく多様性に満ちている
命の形がすべて人間であったなら
人間は人間を食らうことになるのだろう
人間は何かを食らわなければ生きてゆけない
人間は何かを支配しなければ
よりよく生きてゆけない生き物だ