ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

トリプルワールド67


動揺「ぞうさん」の作詞で有名な
まどみちおさんの詩に「リンゴ」という詩がある


とても好きな詩で
その冒頭を書かせていただく


  リンゴを ひとつ
  ここに おくと


  リンゴの
  この 大きさは
  この リンゴだけで
  いっぱいだ


空間の占拠ということで言うと
領土や縄張りのように
身体の外部に目が行きやすいが
身体が存在してる空間もきちんと存在しており
その空間は
いつだって確実に身体により占拠されている


縄張りよりもずっとずっと確実に
空間を占拠している


そして
その身体の空間で何が行われているかというと
自作自演の刺激と反応の繰り返しだ


自作自演だから
ある刺激を発すれば
それに呼応した反応が
必ず帰ってくる


例えば
血糖値が下がれば
お腹がすくし
尿が溜まれば
排尿したくなる
それに
目で危険を察知すれば
身体がをそれを避けようと反応する


これに対して
身体の外の空間では
特定の刺激を発しても
必ずしも
求める反応が返ってこない


雨ごいをしても
雨が降るとは限らないし
他人に命令をしても
思うように動いてくれるとは限らない


体内の刺激と反応の関係は
あらかじめ予定されていた関係が
滞りなく発揮されるものなので
きちんと共役して
きちんと反応が連鎖してゆくのだけれど
体外の刺激と反応の関係は
自分だけで予定することができないので
滞りなく共役しているとは限らないということだ


体内であるような
刺激と反応の予定調和が
体外でも起こるように
様々な社会的な努力が施行されている


呪術や
憑依や
祈りといった刺激を発することを重視した技術は
反応を引き出すには頼りない技術であるが
人間社会では
言葉を用いた規律の周知により
体外の刺激と反応の関係が整理されている


動物でも
フェロモンや
恋の歌などで
刺激と反応の関係が予定されており
この予定に従い
刺激を発し
反応を返している


体外である環境は
様々な刺激に満ちている
様々な刺激が混在しているなかから
反応すべき刺激を感じ取り反応している


しかしその反応と刺激の密度はとても薄くて頼りない


やはり
反応と刺激は
体内でとても濃く忠実だ


だから
リンゴを置くと
その空間は
リンゴの大きさでいっぱいになるのだろう


ミカンの刺激と反応が入り込む余地のない空間が
リンゴの内部に出来上がる

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