ルアーなお金たち、言葉たち、命たち

砂上の楼閣を上手に維持する共役反応の数々に感謝です。ルアーは反応の連鎖の象徴です。

トリプルワールド99


水槽の中で
不格好な金魚が泳いでいる


自然の湖の中で
金魚のように
こんなにのんびりとした魚は
生き抜けないだろう


そんな金魚たちが
水槽の主に
餌を乞い
麗しき水質を乞い
祈りを捧げるように
泳ぎ回り
その日
その日を暮らしている



地球という星の上で
様々な格好をした生き物たちが
その日
その日を暮らしている


太陽から降り注ぐ光を乞い
純化する大気と水を乞い
その日
その日を暮らしている


太陽は
いつしか太陽と呼ばれるようになり
神の象徴として崇められた


いつのころからか
金魚のように弱きものは
強きものに
命を乞い
生きながらえてきた


強きものは
弱きものを助け崇められてきた


強きものが
弱きものを助け
弱きものが
強きものを崇めながら
世界が廻っている


神の国はそれの象徴だろう


太陽は
弱き者どもを
支え続ける


神の世界では
弱き者どもは
その光を
奪い合い
分け合いながら
生き永らえてきた


争いを仕掛けるのは
神ではない
奪い合う弱気ものどもだ


弱気ものどもは
これからも
奪い合い
分け合いながら
生きながらえてゆくのだろう


自分たちが描いた
強きもを崇めながら
世界を廻し
生きながらえてゆくのだろう



私の管理する水槽に棲む金魚たちの世界にあって
私は神の役割を演じている役者なのだろう


病気になり
その役割を演じきれなくなる日も来るのだろう


ひとつの神様では頼りない


だから
たくさんの主体がうごめき
助け争いながら
多主体世界を維持しているのだろう


サードワールドの
良きも悪しきも
世界の維持のために機能している反応だ


ひとつの反応では
それが途切れればすべてが途切れてしまう


代替が効く反応の束が
それぞれの系譜を描きながら
継続を紡ぎ続ける


先細りして
終わりに至るまで
次に起こるべき反応を予定しながら
過去に予定された反応を
今、懸命に繰り返す

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