言葉の世界と
現実の世界があって
言葉を操る人がそれをつなげている

だから
言葉を操る人が現実の世界にいなければ
言葉の世界と
現実の世界がつながらない

人が現実の世界ではなく
言葉の世界にだけいたり
言葉を操る人がいなくなれば
言葉の世界と
現実の世界は別れてしまう

人は
酵素のように
今ある現実の世界と
今ある言葉の世界を
混ぜ合わせて
化学反応を起こし
現実の世界を別の現実の世界へと
言葉の世界を別の言葉の世界に変えてゆく

このように
人は世界の反応を触媒する酵素だ

太古の海には
今よりももっと
無計画で
無謀な酵素反応が沢山あったろう
それが
生命の進化とともに整理整頓されてきて
継続可能な反応が
それぞれのシステムとして統合されてきた

今とは違う反応が
たくさんたくさん
太古の海の中でうごめいていただろう

今も
未来とは違う酵素り応が
未来を見つめつつ
未来を知らぬままにうごめいている

世界が流転しながら
反応が世界を維持するように紡いでは
反応が世界をつなげている

生命は反応の系譜であり
言葉もまた反応の系譜として存続している

知偽に起こる反応がなければ
途切れてしまう反応の系譜が
なんとかかんとかつながっているから
世界が紡がれている