不知の知
私が
私のすべてを知っている
とすると
私は
私の素晴らしさも
私の醜さも
私の全て知っていることになる
私は
私が露出していることも
私が懸命に隠していることも
私のすべてを知っていることになる
しかし、、、
私が私を眺める私と
他人が私を眺める私に齟齬がある
この齟齬が揺れ動くとき
私の知らない私が
私へと降りかかる
それは
うれしい私であったり
切ない私であったりする
私が知らない私が存在する
いつだって
次に現れる私を知らずにいる
季節が変わり
また少し年を取る
私を
ひとつ所に押し込めることはできない
主義や原理に
隷属している暇はない
不知なる私を
次から次へと迎え入れるのだ